経済産業省は8月29日、有識者会議(定置用蓄電システム普及拡大検討会)を開催し、系統用蓄電池システムなどについてコスト面・収益面での課題を整理した。
三菱総合研究所(MRI)の調査・分析による資料では、2022年度における系統用蓄電池システムの単価は、「総額4.9万円/kWh+工事費1.2万円/kWh」だったが、2023年度では、資源価格の高騰や為替変動などの影響により、「総額6.2万円/kWh+工事費1.4万円/kWh」に上昇した。特に電池部分(2022年度3.6万円/kWh、2023年度4.8万円/kWh)のコスト増が顕著だった。一方で、事業者ヒアリングによると、補助金事業以外で海外製の蓄電池システムを採用する場合、総額2~4万円/kWhのコスト水準となり得ることが分かった。
系統用蓄電池システムの収益性の分析では、建設費6万円/kWh、容量市場収入0.95万円kW/年と想定した場合、ダウンサイドシナリオ(充放電時の平均値差・4.45円/kWh)では、費用が14.84万円/kWh/20年に対し収入は11.89万円/kWh/20年となり、IRR(内部収益率)は-6.2%の赤字となった。ダウンサイドシナリオは、過去5年間で最も値差が小さいJEPXの2019年度の卸価格実績値を参照した。
また、ベースシナリオ(同10.61円/kWh)では、費用が15.76万円/kWh/20年に対して収入が15.99万円/kWh/20年と、IRR0.4%とほぼ拮抗した。ベースシナリオは、過去5年間の卸価格実績値が周期的に20年間続くと想定した。
さらにアップサイドシナリオ(同17.54円/kWh)では、費用18.17万円/kWh/20年に対し収入が21.71万円/kWh/20年となり、IRRは5.1%となった。アップサイドシナリオは、過去5年間で最も値差が大きい2022年度の卸価格実績値を参照した。
また、総費用に占める建設費および運転維持費の割合が多く、蓄電池システム事業においては両コストの削減が重要になる。ベースシナリオの場合、建設費が5万円/kWh以下であれば一定の収益が見込まれるという。このほか、事業者ヒアリングでは、各市場を予見することが難しく、将来の想定収益は想定方法により大きな幅があるとの指摘もあった。
このほかにも同検討会では、再エネ併設型蓄電池システムについてもコスト面・収益面で課題を整理した。
海外製セル等を含む設備コストの平均値であること、事業中止またはコスト情報がない案件は集計対象外としているため、採択件数と集計対象件数が乖離している点に留意が必要である。四捨五入の関係で合計値が一致しない場合がある。
蓄電システムコストと工事費以外に、受変電設備等の付帯設備・工事費および税等が上乗せされて最終的な系統蓄電システムの建設費(CAPEX)となる。
※1: 「電池部分」には、蓄電設備、蓄電池制御部分、蓄電システム制御装置が含まれている。ただし、事業者によりその対象が異なる可能性がある。
※2: 「PCS」には、電力変換装置が含まれている。ただし、事業者によりその対象が異なる可能性がある。
※3: 「その他」には、付帯設備、設備費に関連したその他費用が含まれている。ただし、事業者によりその対象が異なる可能性がある。
※4: 「工事費」には基礎工事、据付工事、電気工事、付帯工事等が含まれる。ただし、事業者によりその対象が異なる可能性がある。
※5: 本調査では実績報告データに基づいて試算したため、2022年度に実施した資源エネルギー庁委託調査(定置用蓄電システムの普及拡大策の検討に向けた委託調査)と比較してコストの内訳が変化している。
出所)事業者ヒアリングおよび補助金情報等を基に三菱総合研究所作成
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